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無料で使いやすい会計ソフトの決定版

~余計な機能がなく、わかりやすい会計ソフトで、青色申告しませんか?~

個人事業主やフリーランスの方が毎年行っているのが確定申告です。大変ではないでしょうか? 確定申告のみや白色申告の方も多いと思いますが、青色申告を行うと、 所得金額から最大65万円が控除され、大きな節税となります。


本サイトは、青色申告に必要なこと、ためになる情報をお届けします。


青色申告に関するニーズ

かんたんにできる会計ソフトを知りたい
余計な機能はいらない
基本的な仕訳ができればよい
記帳が難しい
青色申告のメリットがわからない
青色申告決算書の記入の仕方がわからない
税務署への提出が複雑で不安
青色申告で節税対策を行いたい
控除を最大限に活かしたい




1. 青色申告による節税の効果は?

1. 青色申告で課税所得を少なくする

確定申告を行うと、所得から基礎控除や社会保険料控除などの所得控除分が差し引かれ、課税所得が少なくなります。 青色申告を行うと、最高65万円の特別控除が適用されるため、ここからさらに課税所得が少なくなります。
所得税は課税所得に税率をかけて算出されます。このため、課税所得が少なくなると所得税が少なくなります。また、 住民税や国民健康保険料の算定にも青色申告特別控除が適用されます。このため、税金、社会保険料がともに安くなります。



※ 所得が毎年400万円の場合、青色申告特別控除ありの右のケースは、 青色申告特別控除なしの左のケースに比べ国民健康保険料が少なくなります。このため、その分所得控除額が少なくなっています。


所得400万円の場合、税・社会保険料は20万円程度低減

所得が毎年400万円の個人事業主が、65万円の青色申告特別控除を適用した場合としなかった場合で、税・社会保険料はどの程度変わるのでしょうか? あるモデル都市を想定し、試算してみました。


項目青色申告なし青色申告あり節税効果
(1)青色申告特別控除前の所得4,000,0004,000,000
(2)青色申告特別控除0650,000
(3)所得   (1)-(2)4,000,0003,350,000
(4)課税所得 (3)-所得控除2,788,0002,219,000
(5)所得税  (4) × 税率等181,300124,400-56,900
(6)住民税  ((3)-所得控除) × 税率等287,100230,200-56,900
(7)国民健康保険料 ((3)-基礎控除) × 税率等     532,400451,000-81,400
(8)国民年金保険料199,080199,0800
(9)税・社会保険料 計 (5)+(6)+(7)+(8)1,199,8801,004,680-195,200
(10)手取り (1)-(9)2,800,1202,995,320

※ 住民税および国民健康保険料の税率等は、あるモデル都市の値を想定。所得控除は基礎控除および社会保険料控除(国民年金保険料・国民健康保険料)の合計。 所得税の基礎控除は48万円、住民税・国民健康保険料の基礎控除は43万円として試算。青色申告特別控除前の所得は事業収入から必要経費を引いた金額。



この結果、青色申告を行った場合は、行わなかった場合に比べ、所得税、住民税がそれぞれ -56,900円減税となります。また、国民年金保険料は-81,400円安くなります。 税金、社会保険料を合わせると-195,200円安くなる結果となりました。(税・社会保険料はあくまで概算であり実際とは異なります)

3. 青色申告を行う上でやるべきこと

65万円の青色申告特別控除を適用するためには、以下のことを行う必要があります。


65万円の青色申告特別控除を適用するためにやるべきこと6つ

(1)開業届を税務署に提出し個人事業主になる

(2)所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出する

(3)取引内容を複式簿記で記帳する

(4)帳簿をもとに決算関係書類を作成する

(5)決算関係書類をもとにe-Taxで青色申告および確定申告を行う

(6)作成した帳簿、決算関係書類、領収書、契約書などを定められた期間保管しておく


このうち、「複式簿記で記帳する」、「決算関係書類を作成する」、「e-Taxで申告を行う」は、少し大変な作業かもしれません。 そもそも、複式簿記って何?決算関係書類って何を作成するの?e-Taxで確定申告って簡単にできるの?など、疑問はつきません。


このような場合、会計ソフトを使うというのが一つの解決策となります。 会計ソフトの中でもできるだけ簡単でシンプルなものがおすすめです。


「青色申告のシンプル会計」は、取引の内容を項目の中から選択し、金額などを入力するだけで記帳が行え、 決算関係書類をすべて自動で作成することができます。仕訳と呼ばれる手間のかかる作業は一切ありません。 いますぐ、無料で使えます。

2. 青色申告のシンプル会計とは?


↓ 無料でダウンロードできます。



1. 操作がかんたん

青色申告のシンプル会計は、取引明細を入力し「仕訳を開始する」ボタンを押すと、青色申告に必要なすべての帳簿を 自動的に作成することができます。取引があった時に、取引明細を入力する。 必要な作業はこれだけです。


自動的に作成される帳簿

主要簿 : 仕訳帳 / 総勘定元帳

決算関係書類 : 損益計算書 / 貸借対照表 / 月別総括集計表

補助簿 : 経費帳 / 売掛帳 / 買掛帳 / 現金出納帳 / 預金出納帳 / 固定資産台帳


取引明細の入力項目は、日付、取引の種別、取引の内容、経費の種別、金額、取引先、摘要の7項目です。 「新規登録」ボタンを押して登録を完了します。

取引の内容は、「経費・クレジット等に関すること」、「経費を事業用のクレジットで支払った」、「消耗品費」などを一覧 から選択するだけです。「補足」欄には解説が表示されます。仕訳の知識は必要ありません。



登録完了後は「仕訳を開始する」ボタンを押すだけです。必要な帳簿がすべて自動的に作成されます。


2. すぐに青色申告ができる

取引明細を入力し「仕訳を開始する」ボタンを押すと、損益計算書、貸借対照表、月別総括集計表などの帳簿が作成されます。あとは、 作成された帳簿の値を青色申告決算書の該当する欄に記入するだけ(e-Taxの場合は入力するだけ)です。

青色申告決算書1ページ目には、作成した「損益計算書」の値を赤枠の対応する欄に記入します。
(差引金額や合計金額など計算が必要になる欄が一部ありますが、e-Taxで申告する場合は必要ありません)

×

青色申告決算書2ページ目には、作成した「月別総括集計表」の売上金額、仕入金額を赤枠の対応する欄に記入 します。
(給料賃金や専従者給与、地代家賃の支払いなどがあった場合は、隣の欄に別途、氏名、住所などの記入が必要です)

×

青色申告決算書3ページ目には、作成した「売掛帳」「買掛帳」の取引先の情報と売上金額、 仕入金額を赤枠の対応する欄に記入します。
(減価償却などがあった場合は、下の欄に別途、記入が必要です)

×

青色申告決算書4ページ目には、作成した「貸借対照表」の値を赤枠の対応する欄に記入します。

×

e-Taxで青色申告を行えば、作成した帳簿の値を入力するだけです。差引金額や合計金額などの計算は必要ありません。
また、 65万円の青色申告特別控除を受けることができます。


3. 無料で使える

「青色申告のシンプル会計2024」は、無料で90日間使用することができます。


フリープラン

ファイルをダウンロードして解凍し、exeファイルをダブルクリックするとすぐに使えます。

※ウィルスソフトの影響でexeファイルが実行できない場合があります。ウィルスソフトの設定を変更してから実行してください。



×



ベーシックプラン

ベーシックプランのライセンスキー(税込990円)を購入すると、永久に使用することができます。 また、帳簿の保存(Excelファイル、PDF)、取引明細の一括読み込み、減価償却費の計算(定額法)ができます。




プレミアムプラン

プレミアムプランのライセンスキー(税込13,000円)を購入すると、ベーシックプランに加え、 新たに仕訳のルールを作成することができます。


3. 青色申告の基礎知識

1. 青色申告特別控除(最高65万円)で節税対策

青色申告制度とは、事業所得または不動産所得のある方が、一定の要件のもと、事業所得等の金額から最高 65万円を差し引くことができる制度です。課税所得額が下がることにより、所得税が軽減されます。 青色申告特別控除には、10万円、55万円、65万円の3種類があります。


55万円の青色申告特別控除が受けられる要件

(1)事業所得または不動産所得がある

(2)事業所得または不動産所得に係る取引を、複式簿記で記帳している

(3)記帳に基づき作成した貸借対照表および損益計算書(青色申告決算書) を確定申告に添付している

(4)確定申告書を提出期限までに提出している

(5)現金主義による所得計算の特例の適用を受けていない

※ (1)、(2)、(3)、(4)、(5)をすべて満たしていること
※ 現金主義とは現金の取引があった時点で記帳を行う方法で、適用を受ける場合は届出が必要です



55万円の控除の要件に加え、e-Taxによる申告(電子申告)または 優良な電子帳簿の保存の要件を満たしている場合は65万円を差し引くことができます。


65万円の青色申告特別控除が受けられる要件

(1)55万円の青色申告特別控除が受けられる要件を満たしている

(2)e-Taxによる申告を行っている

(3)優良な電子帳簿の保存の要件を満たしている(一定の要件を満たし届出が必要)

※ (1)と、(2)または(3)を満たしていること


青色申告を行う場合は、青色申告承認申請手続が必要です。 「3. 開業届と青色申告承認申請書の提出」参照



上記以外の青色申告者については、事業所得、不動産所得、山林所得を通じて 10万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。


10万円の青色申告特別控除が受けられる要件

(1)事業所得、不動産所得または山林所得がある

(2)簡易な記帳を行っている

(3)損益計算書(青色申告決算書)を提出している

※ (1)、(2)、(3)を満たしていること



ここで、簡易な記帳とは、標準的な簡易帳簿(経費帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、固定資産台帳)を記帳することをいいます。 記帳のしかたについては、国税庁HP「帳簿の記帳のしかた」をご覧ください。

簡易帳簿は、いわゆる補助簿と呼ばれる帳簿で、入金があれば入金欄へ、支出があれば出金欄へ記入する形で、 容易に記帳することができます。一方、55万円あるいは65万円の青色申告特別控除を受けるためには、 補助簿に加え、複式簿記による主要簿(仕訳帳、総勘定元帳)の記帳が求められます。 詳しくは、「4. 複式簿記による記帳」をご覧ください。

2. 青色申告の対象者

前に述べたように、青色申告をすることができる方は、 不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。 ただし、山林所得のある方は、10万円の青色申告特別控除の適用のみとなります。

ここで、不動産所得のある方が55万円あるいは65万円の青色申告特別控除を受ける場合、 以下の要件を満たす必要があります。要件を満たさない場合は、専従者給与の控除は適用されず、 青色申告特別控除は10万円となります。


55万円あるいは65万円の青色申告特別控除が受けられる不動産所得の要件

不動産の貸付け規模が事業的規模にあたる場合に限られます。

(事業的規模の要件)

(1)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること

(2)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること

※ (1)または(2)を満たしていること



不動産の貸付規模が事業的規模に満たない場合、65万円の青色申告特別控除は受けられません。ただし、 不動産所得以外に事業所得がある場合、事業的規模は問わないとされています。

すなわち、不動産所得以外に事業所得があれば青色申告特別控除を受けることができます。 特に、事業所得が赤字であっても控除の適用は可能とされており、この場合、事業的規模を問わず、 不動産所得から控除が行われます。

このような理由から、不動産貸付による所得がある場合は、事業が小規模であっても青色申告制度を最大限に活用できる可能性があります。

(参考) 国税庁HP 「業務的規模の不動産所得と赤字の事業所得がある場合の青色申告特別控除」


3. 開業届と青色申告承認申請書の提出

事業所得、不動産所得または山林所得が生じる業務を行う方で、青色申告を行う方は、 事前に青色申告承認申請手続が必要です。


所得税の青色申告承認申請書

提出期限 : 青色申告をしようとする年の3月15日まで

※その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、 その事業開始等の日から2月以内

作成・提出方法 :

e-Tax(WEB版)のマイページから、「所得税関係情報」の申告の種類が白色申告の方は、 「青色にする」ボタンをクリックし、青色承認申請の手続きを行うことができます。

パソコンにe-Taxソフトをインストールし、ソフト上で申請書を作成し提出することも可能です。

書面で申請書を作成の上、持参または送付により納税地を所轄する税務署へ提出することもできます。

×

また、新たに事業を開始された方は、開業届と青色申告承認申請書の提出が必要 です。


個人事業の開業・廃業等届出書

提出時期 : 事業の開始等の事実があった日から1月以内

作成・提出方法 :

パソコンにe-Taxソフトをインストールし、ソフト上で届出書を作成し提出することができます。

書面で申請書を作成の上、持参または送付により納税地を所轄する税務署へ提出することもできます。

※ e-Taxを初めてご利用になる方は、利用者識別番号を取得する必要があります。 詳しくは、国税庁ホームページ「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」をご確認ください。

×

4. 複式簿記による記帳

所得税法施行規則第57条において、青色申告者は「正規の簿記の原則」に従い、取引を記録し、 貸借対照表および損益計算書を作成しなければならないとされています。

正規の簿記とは、一般的には複式簿記のことをいい、1年間に生じた所得を正しく申告するため、 事業に係るすべての取引を記帳し、帳簿や書類は一定期間保存しなければなりません。

65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記により記帳を行うことが要件となっています。 また、複式簿記に基づき記帳を行うことにより、損益計算書、貸借対照表を作成することができます。

複式簿記で作成される帳簿には主要簿と補助簿があります。また、主要簿から決算関係書類が作成されます。 65万円あるいは55万円の控除を受けるためには、以下の帳簿を作成し7年間保存する必要があります。


項目帳簿
主要簿仕訳帳、総勘定元帳
補助簿経費帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、預金出納帳、固定資産台帳 など    
決算関係書類  損益計算書、貸借対照表 など



それでは、仕訳帳、総勘定元帳など、主な帳簿について見てみましょう。


仕訳帳と関係する帳簿

事業に係る取引が発生すると、はじめに、仕訳帳へ記帳することとなります。仕訳帳は、取引の内容に応じて、 「借方」「貸方」という貸借により勘定科目を振り分け整理します。 勘定科目とは取引の内容をわかりやすく表すために用いられる簿記の科目です。例えば、 ペンや消しゴムなどの購入費は「消耗品費」、電気代やガス代は「水道光熱費」という勘定科目が用いられます。

例)「事務所のインターネット代5,000円が、事業用口座から引き落とされた場合」

仕訳のパターンは取引の内容に応じて決まり、以下のように記帳します。 (日付など一部の項目は省略しています)


借方金額(円)貸方金額(円)
通信費5,000その他の預金5,000


事務所のインターネット代は、経費の支出に該当するため、経費帳への記帳が必要になります。 経費帳とは経費の支出状況を把握するためのもので、以下のように記帳します。金額の記入欄は現金かそれ以外かの2種類があります。


勘定科目(借方)摘要金額(円) 現金金額(円) その他
通信費インターネット代5,000


また、この例では、事業用口座から引き落としがあったため、預金出納帳への記帳が必要になります。 預金出納帳とは事業用口座の資金の出入りを把握するためのもので、以下のように記帳します。 出金の記入欄は仕入によるものかそれ以外かの2種類があります。 預金出納帳は、通帳の内容と一致するよう作成しておく必要があります。


勘定科目(借方)摘要出金(円) 仕入出金(円) その他
通信費インターネット代5,000


記帳のしかたについては、国税庁HP「帳簿の記帳のしかた」「貸借対照表の手引き」などをご覧ください



総勘定元帳

総勘定元帳は、仕訳帳に記帳したすべての取引を勘定科目ごとに分類・集計した帳簿です。総勘定元帳を作成することにより、 1年間に事業の経費として水道光熱費をいくら支出したか、1年間の事業の売上(収入)はいくらであったかなど、 各勘定科目の残高を把握することができます。 損益計算書、貸借対照表は、期末時点(12/31)における各勘定科目の残高をもとに作成されます。


例えば水道光熱費に関する総勘定元帳は、以下のように記帳されます。

例)総勘定元帳 「水道光熱費」(一部抜粋)

日付相手勘定科目摘要仕丁借方金額貸方金額残高
2023/11/6未払金関電ガス291,85824,485
2023/11/10未払金auでんき303,59828,083
2023/12/3未払金関電ガス392,49530,578
2023/12/3未払金auでんき403,05033,628
2023/12/15その他の預金水道446,36939,997
2023/12/28事業主貸家事按分(auでんきx0.75)   5111,31128,686
2023/12/28事業主貸家事按分(水道・ガス)5324,9163,770



総勘定元帳の記載項目

(1)日付 : 仕訳帳の日付欄に記載された日付

(2)相手勘定科目 : 仕訳帳に記載した「水道光熱費」(勘定口座)の相手方となる勘定科目

(3)摘要 : 仕訳帳の適用欄に記載された内容

(4)仕丁 : 仕訳帳の該当する番号

(5)借方金額 : 「水道光熱費」(勘定口座)が仕訳帳で借方に記載されていれば、その時の借方金額

(6)貸方金額 : 「水道光熱費」(勘定口座)が仕訳帳で貸方に記載されていれば、その時の貸方金額

(7)残高 : 「水道光熱費」の日付順に借方金額を加算、貸方金額を減算して計算した残高



総勘定元帳から、電気代、ガス代、水道代が水道光熱費として経費計上されていたことがわかります。ここで、12/28に家事按分とあります。 家事按分とは経費計上した金額のうち、プライベートで使用した分を差し引くことをいいます。

たとえば、自宅を事務所として使用していた場合、事業に使用した分とプライベートで使用した分を按分する必要があります。 この例では、1年間に発生した電気代の75%、水道・ガス代の100%をプライベートで使用した分として経費からまとめて差し引いています。 75%や100%は按分比率といい、あらかじめ一定の割合を設定しておくことができます。ただし、事業の内容や特性を踏まえ、 なぜその按分比率を設定したのか、根拠を明確に整理しておくことが求められます。

5. e-taxのメリットとデメリット

65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、 e-Taxによる申告を行うことが要件の1つとなっています。 e-Taxとは、インターネットを利用して国税に関する手続が行えるシステムです。 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし金額等を入力するだけで、青色申告や確定申告を自宅で行うことができます。 e-Taxでは記入用紙の合計欄など、これまで計算していた余計な作業は一切不要です。


e-Taxのメリット

国税庁によると、令和4年分の確定申告は3人に2人がe-Taxで申告を行ったとされています。e-Taxは、 マイナンバーカードの取得とともに急速に普及しています。e-Taxには以下のようなメリットがあげられます。


e-Taxのメリット

(1)税務署へ持参しなくてよい

(2)印刷代、切手代が不要

(3)添付書類の提出が不要(一部の書類を除く)

(4)24時間いつでも利用できる(メンテナンス時間を除く)

(5)確定申告後、早期に還付される



e-Taxのデメリット

e-Taxには以下のようなデメリットがあげられます。


e-Taxのデメリット

(1)インターネットの接続環境が必要

(2)マイナンバーカード、利用者識別番号の取得が必要

(3)ICカードリーダーが必要(パソコンから申請を行う場合)

(4)e-Taxソフトのインストールが複雑(パソコンにインストールする場合)


デメリットの1点目は、インターネットの接続環境が必要という点です。 最近ではスマートフォンから利用することもでき、確定申告しやすい環境となっています。

2点目は、マイナンバーカード、利用者識別番号の取得が必要という点です。これは、e-Taxをはじめる上で必要な作業です。 マイナンバーカードの取得率は既に8割を超えていますが、利用者識別番号はマイナンバーカードを使って取得することができます。 e-Taxのホームページの手順に従ってください。

3点目は、ICカードリーダー(1,000円~2,000円程度)が必要という点です。パソコンでe-Taxを行う場合は、 マイナンバーカードの読み取りにICカードリーダーを使用します。 最近ではスマートフォンを使ってマイナンバーカードの読み取りができるようになりました。 このため、対応機種のスマートフォンがあれば、ICカードリーダーは不要です。

4点目は、e-Taxソフトのインストール作業が複雑という点です。 これは、パソコンにe-Taxを行うためのソフトをインストールしたい方に限定されたデメリットです。 ほとんどの方は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし確定申告を行うため関係ありません。 ただし、開業届の提出をe-Taxで行いたい方は、現状では、e-Taxソフトのインストールが必要となっています。


マイナポータル連携

マイナポータル連携とは、マイナンバーカードを利用し、マイナポータル経由で申告に必要な各種証明書等のデータを一括取得し、 確定申告書の該当項目へ自動入力できる機能です。 マイナンバーカードを利用しe-Taxで確定申告書を提出する場合に限り、この機能が利用できます。

確定申告において控除証明書等の集計や1件ずつ入力する手間が不要となるため大変便利な機能です。 ただし、控除証明書等の発行企業などが多いと、「e-私書箱」や「e-Tax連携サービス」など、 複数のサービスを使って連携を図る手続きが必要となり、多少、煩雑な面があります。しかし、 確定申告の作業が楽になるという点では、それ以上の価値が期待できそうです。 マイナポータル連携を利用するためには、マイナポータルの利用者登録やマイナポータルとe-Taxを連携する事前準備が必要です。


(出典:国税庁 マイナポータル連携特設ページ)

6. 純損失の繰越控除(節税対策 その1)

ここからは、青色申告を行うことによる節税のメリットについて説明します。

純損失の繰越控除とは、青色申告者が事業で赤字(損失)が発生した場合、確定申告を行うことにより、 赤字を翌年以降3年間、所得から差し引くことができる制度です。所得税は1年間の所得に税率をかけて算出されるため、 赤字を計上することで所得が減る形となり納税額が少なくなります。


具体例

200万円の赤字が発生したため、確定申告(損失申告)を行った

今年 : 200万円の赤字が発生(所得0円) → 200万円の赤字(翌年へ繰り越し)
1年目 : 60万円の黒字が相殺される(所得0円) → 残り140万円の赤字(翌年へ繰り越し)
2年目 : 100万円の黒字が相殺される(所得0円) → 残り40万円の赤字(翌年へ繰り越し)
3年目 : 150万円の黒字の一部が差し引かれる(所得110万円) → 110万円の所得に対し税金が引かれる

確定申告(損失申告)においては、確定申告書第四表(一)(二)を作成します。 黒字分を前年から繰り越した赤字分で相殺する場合は、確定申告書第四表(二)を作成します。


所得税額算出の流れ

1年間の収入から経費を差し引いたものを所得といい、所得から所得控除を差し引いたものを課税所得といいます。 所得控除には、基礎控除や社会保険料控除、地震保険料控除などがあります。
計算された課税所得に所得税率をかけると、所得税額が算出されます。 その後、住宅ローン控除や配当控除などの税額控除を適用すると、さらに所得税額を減らすことができます。

青色申告特別控除や純損失の繰越控除は、所得控除と同様に、所得が減ることで税金が安くなります。

7. 青色事業専従者給与の経費化(節税対策 その2)

青色申告者と生計を同じくする家族に支払った給与は、必要経費として計上することができます。 ただし、以下の条件を満たす必要があります。


青色事業専従者給与として認められる条件

(1)青色事業専従者に支払われた給与であること

(2)青色事業専従者は、青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること

(3)青色事業専従者は、12月31日現在で年齢が15歳以上であること

(4)青色事業専従者は、青色申告者が営む事業に6か月超(事業に従事できる期間の1/2超)、専ら従事していること

(5)青色事業専従者給与に関する届出書を納税地の所轄税務署長に提出していること

(6)給与は届出書に記載された方法で支払われ、記載されている金額の範囲内で支払われていること

(7)青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること

※ 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません


家族へ支払う給与を必要経費とすることで所得が減り、税金を安くすることができます。


青色事業専従者給与に関する届出書

青色事業専従者給与に関する届出書は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までに提出が必要です。 作成方法は、パソコンにインストールしたe-Taxソフトで届出書を作成し、パソコンからe-Taxで提出を行います。 届出書は書面で作成し、税務署へ持参または送付により提出することもできます。

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8. 30万円未満の資産の一括経費化(節税対策 その3)

10万円以上の備品は固定資産となるため、数年に分けて減価償却し、各年、必要経費として計上することとなります。 しかし、一定の中小企業者に該当する青色申告者が、10万円以上30万円未満の資産(少額減価償却資産) を取得し業務に使用した場合は、減価償却を行わず取得価格をそのまま必要経費として計上することができます。


少額減価償却資産の特例の対象

(1)中小事業者または農業協同組合等で青色申告を行っていること

(2)30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)を平成18年4月1日から令和6年3月31日までの間に取得し、 事業に使用していること

(3)常時使用する従業員の数が500人以下であること

※ 令和6年3月31日は令和8年3月31日まで延長される


ここで、個人事業主は、措置法28の2において「中小企業者」と位置付けられます。


租税特別措置法(一部抜粋)

(中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例)
租税特別措置法 第二十八条の二

中小事業者(第十条第八項第六号に規定する中小事業者で青色申告書を提出するもののうち、 事務負担に配慮する必要があるものとして政令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)が、 平成十八年四月一日から令和八年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、 当該中小事業者の不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産で、 その取得価額が三十万円未満であるもの( ~抜粋~ 以下この条において「少額減価償却資産」という。)については、 所得税法第四十九条第一項の規定にかかわらず、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額を、 当該中小事業者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、 必要経費に算入する。 この場合において、当該中小事業者のその業務の用に供した年分における少額減価償却資産の取得価額の合計額が三百万円 (~抜粋~)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち三百万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。

租税特別措置法 第十条第八項第六号
中小事業者 中小事業者に該当する個人として政令で定めるものをいう。

租税特別措置法施行令 第五条の三第九項
法第十条第八項第六号に規定する政令で定めるものは、 常時使用する従業員の数が千人以下の個人とする。

租税特別措置法施行令 第十八条の五
法第二十八条の二第一項に規定する事務負担に配慮する必要があるものとして政令で定めるものは、 常時使用する従業員の数が五百人以下の個人とする。



業務用のパソコンなど30万円未満の固定資産は、全額を必要経費とすることで所得が減り、税金を安くすることができます。


減価償却と経費計上

業務に使用する備品等のうち、10万円未満、あるいは使用期間が1年未満のものは、取得した年に必要経費として計上します。 一方、取得価格が10万円以上の場合は固定資産となり、法定耐用年数に基づき複数年に分けて減価償却し、各年に必要経費として計上します。
ただし、取得価格が20万円未満の固定資産は、一括償却資産として、3年に分けて減価償却(一括償却)することが可能となっています。 また、取得価格が30万円未満の固定資産は「少額減価償却資産の特例」を適用すると全額経費として計上することが可能です。


種類 使用期間 取得価格 取扱い
固定資産 1年以上 10万円以上 減価償却
 うち20万円未満 : 一括償却資産(3年に分けて減価償却可)
 うち30万円未満 : 少額減価償却資産の特例(全額経費計上可)
消耗品費 1年以上 10万円未満 必要経費として計上
1年未満

固定資産を取得した場合は、通常の減価償却を行うか、一括償却資産として3年に分けて減価償却するか、 少額減価償却資産の特例を適用し、全額を必要経費として計上するか検討してください。

9. 繰延資産(開業費等)の任意償却(節税対策 その4)

繰延資産とは、個人が支出した費用のうち、支出の効果が1年以上に及ぶもので、以下に示すものをいいます。
青色申告を行うと、繰延資産は任意の金額を任意のタイミングで一括で減価償却することができます。


繰延資産の対象

(1)開業費 : 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用

(2)試験研究費 : 新たな製品の製造又は新たな技術の発明に係る試験研究のために特別に支出する費用

(3)開発費 : 新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓又は新たな事業の開始のために特別に支出する費用

(4) (1)~(3)に掲げるもののほか、次に掲げる費用
 イ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
 ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
 ハ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
 ニ 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
 ホ イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用


繰延資産の償却期間は、繰延資産の区分ごとに定められている一方、開業費、試験研究費、開発費は、 任意の金額を任意のタイミングで必要経費とすることができます。(所得税法施行令 第百三十七条第三項)

なお、開業費、試験研究費、開発費以外の繰延資産で20万円未満のものや、国、地方公共団体、商店街などが行う街路の簡易舗装、 街灯などの簡易な施設で主として一般公衆の便益に供するもののために支出した負担金は、その全額が必要経費となります。
(出典:国税庁資料、繰延資産の範囲について)

開業費等は、すぐに減価償却するのではなく、売り上げが多かった年に償却を行うなど、償却時期、償却費用を検討することで、 税金を安くすることができます。

4. 青色申告に必要な書類

1. 記帳と帳簿作成の義務

事業所得、不動産所得、山林所得がある方は、「所得税の青色申告承認申請書」を提出することにより、 青色申告を行うことができます。これは、所得税法第百四十三条に定められています。


所得税法第百四十三条

不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、 確定申告書等を青色の申告書により提出することができる。



青色申告者は、複式簿記(正規の簿記の原則)により「貸借対照表」「損益計算書」の作成が必要です。


所得税法施行規則第五十七条

青色申告者は、青色申告書を提出することができる年分の不動産所得の金額、 事業所得の金額および山林所得の金額が正確に計算できるよう正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明りように記録し、 その記録に基づき、貸借対照表および損益計算書を作成しなければならない。



「貸借対照表」「損益計算書」の作成にあたっては、「仕訳帳」「総勘定元帳」「その他必要な帳簿」 の作成が義務付けられています。 このうちその他必要な帳簿としては、仕訳帳の内訳がわかる帳簿(経費帳や売掛帳などの補助簿)や所得の内訳がわかる明細、 棚卸しを行った場合は棚卸表、青色事業専従者がいる場合は労務期間などを記録した帳簿などが必要です。


所得税法施行規則第五十八条

青色申告者は、すべての取引を借方及び貸方に仕訳する帳簿(仕訳帳)、 すべての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿(総勘定元帳)その他必要な帳簿を備え、 財務大臣の定める取引に関する事項を記載しなければならない。



青色申告者は毎年十二月三十一日に棚卸資産の棚卸しやその他決算に必要な事項を整理しなければなりません。 また、年末に商品などの在庫が残っていて棚卸しを行う場合は、棚卸表を作成する必要があります。


所得税法施行規則第六十条

第六十条第一項
青色申告者は、毎年十二月三十一日において棚卸資産の棚卸しその他決算のために必要な事項の整理を行い、 その事績を明瞭に記録しなければならない。

第六十条第三項
棚卸しを行う場合には、棚卸表を作成し、棚卸資産の種類、品質、型等の異なるごとに、数量、 単価及び金額を記載しなければならない。



青色申告者が青色事業専従者給与に関する届出書を提出している場合は、 親族が労務に従事した期間などを説明ができるよう、帳簿の備えが必要になります。


所得税法施行規則第六十二条

税務署長が必要があると認める場合には、青色申告者でその者と生計を一にする親族に給与の支払をする者に対し、 帳簿を備え、その親族の労務に従事した期間、労務の性質その他その労務の事績を明らかにする事項の記載を命ずることができる。


2. 青色申告決算書の作成

青色申告者は、事業に係るすべての取引について、仕訳帳、総勘定元帳、その他必要となる帳簿を、 複式簿記に基づき記帳する義務があります。また、毎年十二月三十一日には帳簿に基づき決算を行い、 「貸借対照表」および「損益計算書」を作成しなければなりません。
これらの帳簿、決算関係書類が完成すれば、青色申告決算書を作成することができます。

ここでは、ある取引をもとに、記帳から青色申告決算書の作成までの例を示します。


取引の例
(1) 2024/01/01、決算にあたり、前年から繰り越された商品在庫(棚卸資産)0円を期首の商品在庫(期首商品棚卸高)とした
(2) 2024/01/06、業務用ノート(300円)を1冊、事業用の現金で購入した
(3) 2024/06/10、A社へ業務委託契約Aの成果を納品し、売上100万円を掛売りとした
(4) 2024/10/20、A社から業務委託契約Aの支払分として、事業用口座に100万円が振り込まれた
(5) 2024/12/31、決算にあたり、棚卸しを行った結果、商品在庫(期末商品棚卸高)は0円であった
※ 前年からの繰越残高は、事業用の現金10万円


仕訳帳への記帳

はじめに、取引(1), (2), (3), (4), (5)について仕訳を行い、仕訳帳へ記帳を行います。
※日付など一部の項目は省略しています

取引(1)の仕訳(棚卸(期首))

借方金額(円)貸方金額(円)
期首商品棚卸高0棚卸資産0


取引(2)の仕訳(ノート購入)

借方金額(円)貸方金額(円)
消耗品費300現金300


取引(3)の仕訳(掛売り)

借方金額(円)貸方金額(円)
売掛金1,000,000売上(収入)1,000,000


取引(4)の仕訳(売掛金の回収)

借方金額(円)貸方金額(円)
その他の預金1,000,000売掛金1,000,000


取引(5)の仕訳(棚卸(期末))

借方金額(円)貸方金額(円)
棚卸資産0期末商品棚卸高0


補助簿への記帳

取引(2)の経費の支出は、経費帳へ記帳を行います。 経費帳は現金か現金以外の取引かを区別するようになっています。 また、ノートは事業用の現金で購入したため、現金出納帳にも記帳を行います。 現金出納帳は、現金売上・現金仕入かそれ以外の入出金かを区別するようになっています。 事業用の現金は、前年から100,000円の繰越があったため、残高が100,000円からスタートしています。


経費帳(ノート購入)

勘定科目摘要金額(現金)金額(その他)
消耗品費ノート購入300


現金出納帳(ノートの購入)

摘要入金(現金売上)入金( その他 )出金(現金仕入)出金( その他 )残高
前年より繰越     100,000
ノート購入00030099,700


取引(3)、(4)の掛売りや売掛金の回収は、売掛帳へ記帳を行います。 また、売掛金は事業用口座に振り込まれたため、預金出納帳へ記帳を行います。


売掛帳(掛売り・売掛金の回収)

摘要売上金額受取金額残高
前年より繰越0
売上(売掛金)業務委託A1,000,0000-1,000,000
売掛金(回収)業務委託A01,000,0000


預金出納帳(売掛金の回収)

摘要 入金(売上) 入金( その他 ) 出金(仕入) 出金( その他 )残高
前年より繰越     0
売掛金(回収)業務委託A1,000,0000001,000,000


総勘定元帳への記帳

記帳が終わると、仕訳帳から総勘定元帳を作成します。仕丁は仕訳帳の頁番号を指しますが、 ここでは、わかりやすいように仕訳の取引番号としています。
総勘定元帳は、仕訳帳のすべての勘定科目(勘定口座)について、それぞれ相手方の勘定科目が何であったかを整理します。 また、そのとき、勘定口座が借方であったか、貸方であったかを確認し、借方、貸方の欄に金額を記帳します。


総勘定元帳(消耗品費)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
現金ノート購入2300300


総勘定元帳(売掛金)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
売上(収入)売上(売掛金)業務委託A31,000,0001,000,000
その他の預金売掛金(回収)業務委託A41,000,0000


総勘定元帳(その他の預金)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
売掛金売掛金(回収)業務委託A41,000,0001,000,000


総勘定元帳(現金)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
前年より繰越2100,000
消耗品費ノート購入230099,700


総勘定元帳(売上(収入))

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
売掛金売上(売掛金)業務委託A31,000,0001,000,000


総勘定元帳(期首商品棚卸高)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
棚卸資産棚卸(期首)100


総勘定元帳(棚卸資産)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
期首商品棚卸高棚卸(期首)100
期末商品棚卸高棚卸(期末)500


総勘定元帳(期末商品棚卸高)

相手勘定科目  摘要               仕丁借方金額貸方金額残高   
棚卸資産棚卸(期末)500


損益計算書、貸借対照表の作成

総勘定元帳の勘定科目の最終残高を、それぞれ損益計算書、貸借対照表の勘定科目の欄に転記します。 損益計算書、貸借対照表は、以下のようになります。


損益計算書

勘定科目金額勘定科目金額
期首商品棚卸高0売上(収入)1,000,000
仕入金額0貸倒引当金戻入0
期末商品棚卸高00
租税公課00
荷造運賃00
水道光熱費00
旅費交通費00
通信費00
広告宣伝費00
接待交通費00
損害保険料00
修繕費00
消耗品費3000
減価償却費00
福利厚生費00
給料賃金00
外注工賃00
利子割引料00
地代家賃00
貸倒金00
雑費00
繰延資産償却00
専従者給与00
貸倒引当金繰入00
青色申告特別控除前の所得金額999,7000
合計1,000,000合計1,000,000


貸借対照表

勘定科目金額勘定科目金額
現金99,700支払手形0
当座預金0買掛金0
定期預金0借入金0
その他の預金1,000,000未払金0
受取手形0前受金0
売掛金0預り金0
有価証券0貸倒引当金0
棚卸資産00
前払金00
貸付金00
建物00
建物附属設備00
機械装置00
車両運搬具00
工具器具備品00
土地00
繰延資産0事業主借0
一括償却資産0元入金100,000
事業主貸0青色申告特別控除前の所得金額999,700
合計1,099,700合計1,099,700


損益計算書および貸借対照表は、それぞれ左側の列と右側の列の合計が一致しなければなりません。 一致しない場合は、途中で計算間違いか転記ミスなどの可能性が考えられます。 このため、合計が一致するよう、見直しが必要です。

ここで、青色申告控除前の所得金額は、以下の式より算出されます。

A = 売上(収入) - (仕入金額 + 期首商品棚卸高 - 期末商品棚卸高) - 経費の合計
青色申告特別控除前の所得金額 = A + 貸倒引当金戻入 - (専従者給与 + 貸倒引当金繰入)


貸借対照表の期末(12/31)の元入金は、期首(1/1)の元入金と同額になります。 翌年の期首の元入金は、以下の式より算出されます。

翌期首の元入金 = 期末の元入金 + 青色申告特別控除前の所得金額 + 事業主借 - 事業主貸



月額総括集計表の作成

青色申告決算書には、月別の売上(収入)、仕入金額を記入する欄があります。このため、 仕訳帳から、売上(収入)、仕入金額、経費の支出を月別に集計します。 今回の取引の例において、月別総括集計表は以下のようになります。


月別総括集計表(関係する月のみ抜粋)

項目1月6月合計
売上(収入)01,000,0001,000,000
家事消費等000
雑収入000
売上金額  計
(雑収入含む)
01,000,0001,000,000
仕入金額  計000
租税公課000
荷造運賃000
水道光熱費000
旅費交通費000
通信費000
広告宣伝費000
接待交際費000
損害保険料000
修繕費000
消耗品費3000300
減価償却費000
福利厚生費000
給料賃金000
外注工賃000
利子割引料000
地代家賃000
貸倒金000
雑費000
繰延資産償却000
専従者給与000
経費    計3000300
損益    計-3001,000,000999,700


青色申告決算書の作成

以上で、主要簿である仕訳帳、総勘定元帳、補助簿である経費帳、売掛帳、現金出納帳、預金出納帳損益計算書、 決算関係資料として、損益計算書、貸借対照表、月別総括集計表の作成が終わりました。 最後に、決算関係資料の値を青色申告決算書に転記します。


上記の取引の例では、はじめに、損益計算書の値を「青色申告決算書1頁」の(1)売上(収入)、(17)消耗品費、 (43)青色申告特別控除前の所得金額に転記します。
(7)差引金額や(32)経費の合計、(33)差引金額は表の式に基づき計算します。
(44)青色申告特別控除額は、自分が該当する特別控除の額を記入します。複式簿記で記帳している場合は55万円、 e-Taxで申告する場合は65万円になります。
(46)所得金額は、表の式に基づき(43)青色申告特別控除前の所得金額から(44)青色申告特別控除額を差し引いた額を記入します。
その他、青色申告者に係る情報は、一番上の欄に記載します。


×

次に、「青色申告決算書2頁」を作成します。取引の例では、月別総括集計表の売上(収入)の値(6月分)を転記します。
合計欄には、表を縦に合計した値を記入します。
その他、事業において給料賃金の支払いがあった場合や専従者給与を支払った場合などは、該当する欄に記入を行います。


×

「青色申告決算書3頁」には、売上や仕入の明細、減価償却費の計算などを記入します。
取引の例では、作成した売掛帳に基づき、売上があった取引先の名称、所在地、登録番号または法人番号、売上(収入)を記入します。 ここで、「登録番号または法人番号」は、把握している場合に記入を行います。このうち、登録番号とは、 インボイス制度における適格請求書発行事業者の登録番号で「T」で始まる13桁の番号を表します。
※ 登録番号または法人番号を記入した場合は、売上先名・仕入先名および所在地の記入を省略しても差し支えありません。


×

最後の「青色申告決算書2頁」には、作成した損益計算書の値を転記します。
記入欄には1月1日(期首)と12月31日(期末)があり、前年から繰り越した期首の金額と年末の決算の値を併記する形となっています。 取引の例で作成した損益計算書は期末決算の値です。そのため、現金、その他の預金、元入金、青色申告特別控除前の所得金額を、 それぞれ期末の欄に転記します。合計欄には、表を縦に合計した値を記入します。
一方、期首の欄には、前年から繰り越した事業用現金10万円を記入します。 前年繰越残高は、現金出納帳、預金出納帳などの補助簿から確認を行います。
期首の元入金は、ここでは10万円としていますが、正確には前年期末の元入金などから算出を行います。 詳しくは「元入金の算出式」をご覧ください。


×

3. 会計ソフトの活用

青色申告に必要な作業は、仕訳帳や関係帳簿への記帳、総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表の作成など多岐にわたります。 仕訳帳から勘定科目ごとの整理を行い、帳簿を月別に集計するなど、かなり煩雑な作業が求められます。
しかし、会計ソフトを使用すると、これらの煩雑な作業は大幅に削減されます。 税金を少なくするため65万円の特別控除を受けたいと思いませんか?


「個人事業主を対象としたクラウド会計ソフトの利用状況調査(2024年3月時点)」によると、会計ソフトを利用している人は全体の約4割にのぼり、 そのうち、約半数がPCインストール型の会計ソフト、約3割がクラウド会計ソフトを使用している状況となっています。 しかし、個人事業主の半数以上の方は、まだ会計ソフトを利用していません。 このため、会計ソフトを使って手間をかけず申告できる可能性のある方は大勢いらっしゃいます。


(出典 : MMRIホームページ)

主な会計ソフト

青色申告の主な会計ソフトと価格を以下に示します。

タイプ会計ソフト価格(税抜)
クラウド型 マネーフォークラウド
確定申告
パーソナルミニ10,800円/年
パーソナル15,360円/年
パーソナルプラス35,760円/年 ※一括支払の場合
やよいの青色申告
オンライン
セルフプラン10,300円/年
ベーシックプラン17,250円/年
トータルプラン30,000円/年 ※初年度無料, 割引あり
free会計 スターター11,760円/年
スタンダード23,760円/年
プレミアム39,800円/年 ※年払いの場合
HANJO会計 11,760円/年
ジョブカン青色申告
オンライン
12,000円/年
インストール型 やよいの青色申告24
+ クラウド
セルフプラン10,300円/年
ベーシックプラン17,250円/年
トータルプラン30,000円/年 ※初年度無料あり
みんなの青色申告 9,800円(永久)
青色申告のシンプル会計 フリープラン 0円(90日間)
ベーシックプラン 990円(永久)
プレミアムプラン 13,000円(永久)
※ 価格は年額に換算した値(2024/10/8 時点)



青色申告はシンプル会計

青色申告のシンプル会計は無料で利用できる会計ソフトです。また、安価に利用し続けることができます。青色申告が本当に簡単にできるのか、ぜひお試しください。
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4. 帳簿、領収書、請求書等の保存

青色申告が終わると必要な税金を納めるか、確定申告で還付がある場合は、後日還付金が振り込まれます。しかし、これで終わりではなく、 青色申告において作成した帳簿や決算関係書類、日々の取引に係る領収書、請求書などは、法律に定められた期間、 保存する義務があります。


所得税法施行規則第六十三条第一項

第六十条第一項(決算)に規定する青色申告者は、次に掲げる帳簿及び書類を整理し、起算日から七年間 (第三号に掲げる書類のうち、現金預金取引等関係書類に該当する書類以外のものにあつては、五年間)、 これをその者の住所地もしくは居所地またはその営む事業に係る事務所、 事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。
一 第五十八条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告者の資産、 負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿
二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類
三 取引に関して相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、 見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

※ 第五十八条に規定する帳簿とは、仕訳帳、総勘定元帳およびその他必要な帳簿のことを指す



税務調査への備え

事業を営む法人や個人には、税務署から税務調査の連絡が来ることがあります。これを「税務調査」といいますが、税務調査の目的は、 納税者が正しく税務申告(確定申告)を行っているかを調査することです。
調査においては申告の内容があっているか、帳簿や決算関係書類、取引に係る領収書や注文書、契約書などの確認が行われます。 調査の依頼があった場合は、これらの書類をすぐに見せることができるよう準備しておかなければなりません。

青色申告における帳簿書類の保存期間は、以下の通りです。

区分保存が必要なもの期間
帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳 
固定資産台帳など
7年
決算関係書類損益計算書、貸借対照表、棚卸表など7年
現金預金取引等関係書類 領収証、預金通帳、借用証など7年
その他の書類取引に関して作成しまたは受領した上記以外の書類
(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)
5年

5. 優良な電子帳簿の保存

65万円の青色申告特別控除を受けるためには、55万円の控除の要件に加え、e-Taxにより申告を行う必要があります。 しかし、e-Taxではなく「優良な電子帳簿」の保存を行うことにより、65万円の控除を受けることも可能です。

「優良な電子帳簿」の保存とは、以下の「優良以外の電子帳簿」ならびに「優良な電子帳簿」の要件をともに満たしている状態をいいます。


優良以外の電子帳簿の要件

(1)自己が最初の記録段階から一貫してコンピュータを使用して作成している
(2)システム関係書類等(システム概要書や操作説明書等)の備付けがある
(3)保存場所に、ディスプレイやプリンタ等を備付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できる
(4)税務職員による質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができる
※ 「優良な電子帳簿」に該当する場合は(4)の要件は不要


「優良以外の電子帳簿」の要件を満たしている場合、作成した帳簿はプリントアウトせず、電子データのまま保存することができます。 一方、要件を満たさない場合は、書面で保存する必要があります。


優良な電子帳簿の要件

(1)訂正削除履歴の保存等
(2)帳簿間の相互関連性
(3)検索機能の確保
  ・取引年月日、取引金額、取引先により検索ができる
  ・日付又は金額の範囲指定により検索ができる
  ・2以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索ができる


「優良以外の電子帳簿」に加え「優良な電子帳簿」の要件も満たしている場合は、 あらかじめ届出書を税務署に提出することにより、65万円の控除を受けることが可能です。


優良な電子帳簿の要件の具体的な内容

要件具体的な内容
訂正削除履歴の保存等帳簿を訂正・削除した場合に、その履歴が残るソフトを使用すること
帳簿間の相互関連性経費帳の内容が仕訳帳のどこに記載しているかなど、帳簿間で相互にその関連性が確認できること
検索機能の確保取引年月日、取引金額、取引先の検索、日付または金額の範囲指定による検索、2以上の条件検索ができること

5. e-Taxで65万円控除を受けるためのステップ

1. 65万円の特別控除を受けるための条件

65万円の青色申告特別控除の適用が受けられるか、以下のチェックシートで確認しましょう。


項目チェック
1.開業届を提出した
2.青色申告承認申請書を提出した
3.事業所得または不動産所得がある
4.複式簿記で記帳した(現金主義による所得計算の特例の適用を受けていない)
5.複式簿記に基づき貸借対照表および損益計算書(青色申告決算書)を作成した
6.e-Taxで青色申告および確定申告を行った(もしくは、優良な電子帳簿保存の届出を行い
申告した)
7.確定申告書を提出期限までに提出した
8.帳簿、決算関係書類、領収書などを保存している

2. 帳簿および決算関係書類の作成

帳簿

青色申告における複式簿記の基本的な帳簿体系を以下に示します。ここで、 主要簿は必ず作成しなければいけない帳簿です。 一方、補助簿は必要に応じて作成する帳簿で、取引の内容によって作成する帳簿の種類が異なります。


決算関係書類

青色申告の決算関係書類である損益計算書および貸借対照表は、必ず作成しなければなりません。 取引が発生すると仕訳を行い、仕訳帳から総勘定元帳を作成します。 仕訳の内容によっては、経費帳や売掛帳などの補助簿を作成します。 記帳がすべて終わると、決算期に総勘定元帳を用いて損益計算書ならびに貸借対照表を作成します。






会計ソフトを使用すると、取引が発生したタイミングで取引明細(取引の内容を記録したもの)さえ作成すれば、 好きなタイミングですべての帳簿、決算関係書類を作成することができます。 無料の会計ソフトを活用して効率的に記帳を行いましょう。

3. e-taxの準備

65万円の青色申告特別控除を受けるためには、e-taxで青色申告を行うのが一つの要件となっています。 e-Taxとは、インターネットを利用して国税に関する手続が行えるシステムで、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から、 自宅に居ながらにして青色申告や確定申告を行うことができます。


e-Taxを行うために必要なもの

項目チェック
1.パソコンまたはスマートフォン
2.インターネット環境
3.利用者識別番号
4.マイナンバーカード
5.ICカードリーダー(スマーフォンを使用して認証する場合は不要です)       


利用者識別番号について

e-Taxをはじめて利用する場合は利用者識別番号(16桁)が必要になります。

e-Taxホームページ上部の「ログイン」ボタンから、ログイン画面にアクセスします。マイナンバーカードを読み取ると 「マイナンバーカード方式の利用開始」画面に遷移します。利用者識別番号がない場合は「利用者情報の登録」画面に遷移します。 画面に従って入力を進めると、利用者識別番号が取得でき、マイナンバーカード方式の登録が完了します。

次回からは、マイナンバーカードでログインすることにより、利用者識別番号の入力は省略することができます。


詳しくは、e-Taxホームページ > 個人の方 > e-Taxを始めるための準備をする(ご利用の流れ)をご覧ください。


4. e-taxにおける納税

納税

e-Taxによる申告後、税金の支払いには次のような方法があります。


支払方法概要
ダイレクト納付
(口座振替)
e-Taxによる簡単な操作で預貯金口座からの振替により納付する方法
インターネット
バンキング
インターネットバンキング等から納付する方法
クレジットカード納付クレジットカード会社に納付を委託する方法
スマホアプリ納付スマホアプリ決済業者に納付を委託する方法
コンビニ納付作成・出力されたQRコードをコンビニエンスストアに持参し、納付する方法


支払方法によって、手数料や領収書発行の有無などに違いがあります。事前にご確認ください。


還付金の受取り

確定申告の結果、還付金がある場合は、次のような受け取り方法があります。

受取方法概要
ゆうちょ銀行以外への振込み銀行口座などへの振込み
ゆうちょ銀行への振込みゆうちょ銀行口座への振込み
ゆうちょ銀行の各店舗または郵便窓口でも受取り窓口での受取り
公金口座への振込みマイナンバーカードを使いマイナポータルから登録した公金口座への振込み